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sigur ros 『()』 

『()』
 2002年 アイスランド

穏やかさ/厳しさ、強さ/弱さ、善/悪、暖かさ/冷たさ、明るさ/暗さ、
「相反する形容詞を同時に表現するバンド」であった。

アルバムにも曲にもタイトルを付けない。それは、形式でなはく内容、つまり音のみで勝負するというマニフェストであろう。このアルバムへの真摯な姿勢を感じる。
前作の『アゲイティス・ビリュン』よりもより完成度が増した印象がある。前作より巧くなったのだ。このアルバムは前半と後半があり、数分の無音がもうけられ、意図的に隔てられている。前半は、穏やかさや暖かさというポジティブな曲であり、後半は逆に、厳しさや冷たさといったネガティブな曲で編成される。その前半、後半をやはり壮大で重厚な音で一貫でつなぎあわせる。よくできた作品である。
つまり、良い意味でも悪い意味でも、前作よりも成熟してしまった。冒頭の形容詞のように二元論的に言えば、成熟は整頓をもたらし、反対に、未熟は混沌を生む。前作は、カオスであった。あふれんばかりの魅惑的であり恐ろしくもあるようなエネルギーが漲っていた。『アゲイティス・ビリュン』は、二元論的な価値が併存する音楽であった。安易に感情に訴えるような音楽でない強度を持っていた。今作はというと、ポジティブとネガティブがきれいに陳列されてしまった。二元的な価値が、完全に分けられている。
完成度と引き換えに、まとまりの良い、模範的なものができてしまった。

このアルバムは、やはり美しく壮大である。カオス的な魔力をもつ『アゲイティス・ビリュン』か、整頓され完成度を持つ『()』か、どちらが良い作品か、それもまた、二元論的になってしまうので、ここでは避けることにしよう。


Sigur RosSigur Ros
(2002/10/29)
Sigur Ros




アイスランドのレイキャビクでのライブ

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